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早速経営会議に ポイントは「人材育成と経営戦略への活用」

経営企画部 人事担当部長 水上 誠 氏
水上 早速経営会議にかけ、実施の承認を得ることができました。
岡田 全社展開となると、何の目的でスキル診断なんかやるのか、色々と事前にアナウンスする必要が当然出てくると思いますが、そのあたりはいかがでしたか?
水上 そうですね。1つ社内で指摘があったのは、こういう診断システムは受診する社員からみると「評価に利用されるのでは?」といった不安があるため、「診断結果の詳細は自己にフィードバックされるのみで、会社は個人の診断結果を評価に利用しない」ことを明記して実施するようにしました。

経営企画部 人事担当部長 水上 誠 氏
岡田 会社としては育成計画や、経営戦略を考えるためのデータとして使うし「あなたたちにとっても、これからのスキルアップの目標にもなるんだよ」というところですね。
水上 ええ。そのあたりは非常に気をつかったところでしたね。
全社(170名)への導入 いろんな意見があったが「まずはやってみる」
迫 そしてようやく2005年11月に全社(170名)で受診しました(1回目)。ITSSで定義されない総務や経理・人事といった共通部門等は除いての実施です。「私は受診する必要があるのか?」「設定された達成度指標はサイズ的にも要件的にも自社に合ってないのではないか?」等々、さまざまな意見が出ました。岡田 達成度指標のサイズ要件は「大手のように大規模プロジェクトを手がけないと厳しいよ」という声は当時、他の企業からもよく聞きましたね。
迫 そうですね、それでもとにかくやってみよう!、世の中のものさしで見てみようじゃないか、そういう気持ちで実施しました。
導入時のちょっとした工夫
岡田 とはいえ、社として要求するスキルと実際に差異があると思いますが、社内向けにITSSを読み替えた点はありますか?水上 はい。さっきの意見の中には他にも「できるエースが並評価になってしまう」とか、「規模などの絶対値は自社と大きく違う!」とか、結構いろいろ言われました。でも、自社に合わないというのは事前に想定していたので、対応表(下図)を準備して、主任であればレベル3あたりを目標レベルに設定したらいいよ、といった情報を提供したりしました。これで最低限の目安みたいなものは伝わったのではないかと思います。また、レベル6や7は目指すレベルに入れていません。研修を目的としているため、レベル5を最高と考えてもらって十分ですという意思表示です。
