1.導入の目的

2.実施結果(職種別人員構成)

3.実施効果

1.導入の目的

2.実施結果(職種別人員構成)

3.実施効果

「これまでの感覚的な判断から、データに基づいた判断へと 移行できたことが、何より大きかったですね」。日本オフィ ス・システム 経営企画部部長の石川良一氏は「ITSS-DS」を実際に活用してみた印象を次のように話す。
日本オフィス・システムは1982年に日本IBMと兼松が 43%ずつ出資して、日本IBMの第1号ディーラーとしてスタ ートした会社だ。同社は2004年に「ITSS-DS」による社員のスキル診断を導入した。その理由は、大きく3つある。1 つ目は、他社と比較した場合の自社のスキルレベルを把握するため。同社はもともとディーラーとしてスタートしたが、時代とともに事業構造を変化させてきた。昨今はいわゆるソリューションプロバイダーへの転身を図っているところである。「その過程において、当社はどこが強く、どこが弱い状 態にあるのかを知る必要がありました。感覚的には捉えていましたが、ITSSを導入することで、より客観的に分かるのではないかと考えたのです」(石川氏)。
2つ目はITSS自体が業界に広く普及すると考えたから。そして3つ目は、人材育成をするにあたってどのような研修をすればいいのかを示すロードマップを作っていくためだった。研修や実務経験の積み重ねによるスキルアップの効果を「ITSS-DS」で測定し、その結果を基にスキルレベルの目標を設定する。その目標に向けてさらに研修や実務経験を積むというルーチンを確立する、という狙いがあった。
全国平均と比べてポジションを把握
受診結果からは、それまで目に見えなかった様々な事実が浮かび上がった。まず、全国平均と比べた場合の、職種の分布状況についてである。スキル診断において、社員は自らの職種を、ITSSで定義されている11種類の中から選択した。 実際の仕事では複数の職種にまたがっている人も少なくないが、調査結果を見ると、社内で一番多かったのはアプリケーションスペシャリスト、2番目はカスタマーサービスだった。職種ごとの人数の割合を全国平均と比較すると、カスタマーサービスやセールスの割合が非常に多いことが分かった。これは、長年にわたってディーラーとしてビジネス展開をしてきたことが反映している。今後はプロジェクトマネジメントの数を増やしていくことが課題だという。
スキルレベルについても、今後の人材育成の指針となり得 る、極めて有益な調査結果を得られた。まず、マーケティングおよびプロジェクトマネジメントは、全国と比べて非常に スキルが高いという結果が浮かび上がった。一方で、セールスやカスタマーサービス、ITスペシャリストの育成にはさらに力を入れるべき、という課題を得られた。
伸ばしていくべきスキルを分析
では、具体的にどのようなスキルを伸ばしていけばいいのか。その方針を立てる際も、「ITSS-DS」の診断結果が貴重なデータを提供してくれた。「ITSS-DS」は、ITエンジニアのスキルを「コアスキル」、「共通テクニカルスキル」、「専門テクニカルスキル」という3つの分野に分けて診断する。「調査結果を見ると、特に若手の共通テクニカルスキル、専門テクニカルスキルを引き上げることが重要だという結論に至ったのです」(石川氏)。
また、アプリケーションスペシャリストについて東京と地方の拠点との間で比較を行ったところ、一部の少人数の地方もあったものの、全体的には予想通り東京の方が地方よりもスキルレベルの平均点は高いという結果であった。「これにより、東京と地方の間で定期的なローテーションを行う仕組みを導入する必要がある、という方針を裏付けることができました」。このようにスキル診断の分析結果から、今後の人材育成に関する様々な戦略を検証・立案することができた。
社員1人ひとりにとっては、「ITSS-DS」を受診することで、自分の強み、弱みを知ることができるので、将来の自己開発戦略を定めることが可能となります。また、「ITSS-DS」は診断結果を基にして、受講すべき研修やキャリアパスに関する指針も示してくれるので、社員には大いに参考にしてほしいと考えています」
すでに同社は、「ITSS-DS」を人材育成における基幹に組み込んでおり、着実に活用を始めている。今後も診断を定期的に実施し、診断結果の検証や分析を続けていく方針だ。
Company Profile
日本オフィス・システム株式会社
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戦略部門として、経営方針・経営戦略の立案と業績管理、諸制度の策定などを行う。人事戦略の一環として、人事制度の設計・運用や採用・人材開発も担当 |
※記載内容は記事掲載当時のものです