SBCソフト評価統轄部における課題と取り組み

経 緯 ── キャリアパスを明確にするフレームワークを構築
SBCではグループ内で開発したソフトの評価を専門に行う部署を8年前に設立した。現在は75人もの技術者が所属するまでに成長している。しかし、部署の重要性が増し、技術者が増えるにしたがって、「評価技術者としてのキャリアパスが明確ではないという課題が浮かび上がってきた」と、ソフト評価統轄部第2評価センター副参事の辻中真氏は言う。開発職であれば、プログラマからスタートしてSEになり、プロジェクトリーダーを経て、プロジェクトマネジャーやITコンサルタントというキャリアパスを思い描くことができる。
しかし評価技術者は従来、開発者が担当していた仕事の一部であるテスト工程を専門に携わる人材。従って、新職種といっても過言ではない。これまでは開発経験のある人がほとんどだったが、最近は開発経験のない人も増えてきた。「これまでの評価技術者は管理職へのパスは考えられても、スペシャリスト職のパスがイメージできなかった。目標が明確ではないので、どういう勉強をしていけばいいかもわからない。結果、働き甲斐もよくわからなかったんです」と辻中氏。
導 入 ── ETSS-DSをカスタマイズして可能に
そこで辻中氏は評価技術者のスキル像を設定し、キャリアパスを明確にすることに取り組み始めた。評価技術者用のスキル要件は、JSTQBテスト技術者認定試験を参考に「独自項目として追加した」と辻中氏。そして出来上がったのがsbcキャリアフレームワークである。
それを基に、2007年8月、25人の一般技術者を対象に、第1回目のアセスメントを実施した。「彼らと面接しましたが、みんな前向きに捉えている」と辻中氏。
効 果 ── 技術者が能動的に学べるようになった
ETSS-DS導入の第一の効果は、各技術者が自主的に学習しようという意欲が出てきたことだ」と辻中氏は語る。第二に系統立てた教育が行えるようになったこと。「これまでは目の前の仕事に追われてしまい、なかなか自分からセミナーに行きたがる人はいなかった。しかし、ETSSDSを受診したことで、次のステップに上がるために、必要なスキル要件が分かった。今では一人ひとりが前向きに学ぼうという意識が高まり、育成プラン策定の方法や、社内教材の充実を望む声が出てきた。部門全体のモチベーションも向上し、活性化につながっている」(辻中氏)そのほかの効果としては、上司と部下が話し合う場をもち、スキルアップやキャリアパスに対する認識の一致が図れたことだという。
第1回目の診断において,一般技術者だけを対象にしたのは理由がある。「レベルの高い人のパスはまだ、詰切れていなかったからだ」と辻中氏は明かす。しかし,2008年3月に行われた2回目の診断では、役付きの技術者も対象となった。「2~3年後にはすべてのレベルにおいて,スキル標準を体系化したい」と辻中氏は意気込む。
第1回目対象者の声にあるようにセミナーや自習ツールの内容も検証していかなければならないという。「求められるスキルは固定ではなく,時代とともに変わっていく。どんどんメンテナンスすることも必要でしょう」と辻中氏。
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シャープビジネスコンピュータソフトウェア株式会社
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長年培ってきたノウハウを基に、シャープ製品に組み込まれるソフトウエアの評価を担当。 |
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