人材育成コラム

リレーコラム

2015/08/21 (第65回)

地方創生について考えてみた

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG 主査
NTTコミュニケーションズ 西日本営業本部 担当部長

中山 幹公

 みなさん同様にお感じのことと思うが、今年の夏は暑い!私の勤務する大阪でも、猛暑日の連続記録を更新中である。そんな中、先週は東京〜大阪間を1週間で三往復することとなった。東京での重要用件が飛び石的に入ってしまった結果であるが、私の業務である、IT業界向けのパートナーセールスという性質上、大阪のオフィスに勤務して仕事をしていても、どうしても東京での用件が多くなってしまう。

 例えば、大阪に本社のあるIT企業も殆どのところは、東京に、大阪と同様かそれ以上の営業拠点を構えており、売上はむしろ東京側が多いというのはよくある話である。他には、大阪は開発拠点で、営業の中心は東京だったり、IT会社の幹部の方で、東京と大阪の両方をマネジメントしていて平日のほとんどは東京在勤だったりする。
 かく云う私であるが、さすがに週に三往復するのはたいへん非効率であり、スケジュールの調整ミスと言わざるを得ない。自業自得というところだ。

 東京での用件のひとつに、私が理事を務めているASPIC(ASP・SaaS・クラウドコンソーシアム)の理事会への出席というのがあった。理事を務めてはいるものの、なかなか出席が叶わず、約1年半振りの出席となった。(関係者の皆様、大変申し訳ございません)
 その理事会の中で、ICTに関する、総務省を中心とした政府の検討状況等が共有されるのであるが、その中で、「クラウド等を活用した地域ICT投資の促進に関する検討会」の議論の参考資料として、内閣府地方創生総括官である山崎氏のお名前で出された「人口減少克服・地方創生に向けて」という資料も共有された。(この資料はタイトルで検索して頂くと、ネット上にオープンになっているので、ご興味ある方はご覧頂きたい)
 資料をパラパラと見ながら、自分の三往復を振り返りつつ考えたことを少し書いてみたいと思う。

 アベノミクスの三本目の矢であり、「肝」である成長戦略のひとつとして、この「人口減少の克服」と「地方創生」がある訳であるが、人口が増えると経済成長につながるのはわかるのだが、地方創生が経済成長に結びつくのだろうかという単純な疑問が湧いてくるのだが、政府の方々も含め、みなさんそうお感じにならないのだろうか。自民党としては地方票獲得のためにポーズでそういう方針を打ち出しているのだろうか。

 人口の減少はそう簡単には回復基調にならないだろうからそういう前提で考えると、首都圏一極集中による弊害と考えられるような事も、徐々に緩和されてきて、むしろ首都圏に経済のリソースを集中させた方が国全体の経済成長にはプラスになるとしか思えない。もちろん首都圏直下災害時のリスク等は大きくなるが、それはそれで成長戦略とは切り離して考えるべきではなかろうか。

 事実、資料のデータを見ても、この人口減少下でも、首都圏の人口増加は続いており、大阪をはじめ地方は減少している。それを首都圏の人材を地方に意図的に分散する等し、地方を創生しようと言うのだが、国全体を考えた時にそれが成長につながるのだろうか。ICTやクラウドも、「地方にいる事のハンディ」を和らげる効果はあるが、「地方にいる事のメリット」を作り出すまではいかないのだ。

 首都圏の対抗軸として期待される(かどうかわからないが…)関西圏であるが、先日の大阪都構想否決で、成長の機会を逸したと言えるだろう。住民投票で決めようとしてしまったのだから結果は受けとめざるを得ない。成長を望まない人たちも多くいるのだ。特に地方には。これから先の大阪は、「日本第二の」ではなく東京以外の地方都市のひとつとして横並びになるかもしれない。

 地方の成長戦略のためには、道州制等を含め、まずは各エリアでのリソース集中戦略を取った方が理にかなっていると言える。もちろん富や行政サービスの分配は大事なことであるが、成長を望まない地域に、町や村が消えていくことの心配を煽ったり、無理やり車の通らない高速道路を作るのではなく、町や村の消滅や終焉に備えた政策を地道に考えた方がいいのではないか…、むしろそうしたところにICTやクラウドが活用できるのではないだろうか…、そんなことを三往復の最後の新幹線の中で、田園風景を見ながら考えた夏の昼下がりであった。

(本文章は会社や所属団体と関係なく、あくまで個人としての見解です)

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