人材育成コラム

リレーコラム

2013/09/24 (第43回)

クラウド人材と求めるスキルとは

ITスキル研究フォーラム クラウド人材WG 主査
デトロイト トーマツコンサルティグ テクノロジー・メディア・テレコミニュケーションズ インダストリーグループ パートナー

八子 知礼

 前回、中山さんにご紹介頂いたデロイトトーマツコンサルティングの八子です。クラウド人材ワーキンググループ(WG)の一検討委員として、「クラウド人材のスキル診断項目案」の策定に関わらせて頂きました。
 最初に、「自分は技術者でもクラウド事業者でもないため、あくまでも客観的な視点で評価関与するという立場であまり深く関与はできませんよ」と申し上げました。しかし、検討メンバーの皆様が毎回熱く議論されることを伺いながら、徐々に引き込まれた経緯があります。
 自分の立場としては、クラウドビジネスに関与する方々のビジネス企画立案のスキル、複数のベンダーをコーディネートするスキル、組合せやプロジェクトマネジメントするスキル−−などの観点から各評価項目については言及させて頂きました。

 IT企業の皆様は技術的な要素こそがスキルだと指摘されるかも知れません。しかし、クラウドはサーバーサイドで標準的なサービスが実装されてしまうモデルであり、ERP以上にカスタマイズが難しいビジネスモデルがベースとなっています。そのほとんどは、日本のソフトウエア産業が古くから得意としてきた、きめ細やかな要件対応や些細な仕様の摺り合わせによる調整や個別仕様対応ではなく、ノンカスタマイズないしは既に用意されているモジュールや標準的なサービスの組合せによって整理するものです。

 もちろん、プライベートクラウド、パブリッククラウドの区分の差はあります。しかし、実質的に企業内で構築するプライベートクラウドはリソース統合・プール化と仮想化であり、その領域の中でもインフラレイヤーかデスクトップやOSの仮想化が主たるスキルになると思います。一方で、パブリッククラウドについては、前述の通り、様々なサービスを組み合わせます。このようなビジネス環境においては、1社ですべてが完結するわけではないモデルなのはご承知の通り。そこで、幅広いベンダーやサービスに対するナレッジやプロジェクトマネジメント力が必要とされるわけです。

 今回のスキル評価項目についても、これらの背景を考慮しながら検討を進めてきた経緯があります。組み合わせる観点からは、なかなか項目には表現しにくい「サービスに対する目利き」といった項目も飛び出しました。また、データセンターインフラレイヤーからSaaSレイヤーまで多岐にわたるスキルが必要とされることをあらためて検討メンバー一同がもつ背景と共に再認識した次第です。

 モジュール化されたサービスとして組み合わせた後の安定的な運用についても、多くの課題を抱えているとも言えます。これらについても盛り込むことができたのではないか、と考えています。企画から開発、運用までのバリューチェーンもカバーした、まさに全体のスキル像の把握と棚卸しが可能な診断項目となったと思います。

 必然的に項目数が増加していくことについては、実装するまでに何度も精査を重ねて絞り込む努力もしてきましたが、それでも相応の項目数になっていることは否めません。今後は、年次で継続的に回答結果を比較検討・モニタリングしながら、少しずつ手を加えて改善していくことになると考えています。

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