人材育成コラム

リレーコラム

2011/03/24 (第13回)

皆さんのモチベーションの源泉はどこにありますか?〜モチベーション3.0について〜

ITスキル研究フォーラム 理事
株式会社日立ソリューションズ 人事総務統括本部 人財開発部 部長

石川 拓夫

東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 「モチベーション3.0 持続するやる気(Drive)をいかに引き出すか」(ダニエル・ピンク著)という本がある。昨年の上半期に話題を呼んだ本だ。このコーナーでも何度か書こうとしたが、どのように皆さんに紹介すべきか考えていたら、なかなか書けなかった代物である。と言っても、難解な本ではない。私の展開能力の問題で、なかなか書けなかったと言った方が正しいかもしれない。
 この本は、ITサービス業界の多くの方に読んでほしい。そして自分のモチベーションが、どのバージョンのOS(オペレーティングシステム)なのかを考えてほしいと思う。そしてこれからどんな時代が来て、どのようなOSが必要なのかもぜひ考えていただきたい。これは企業運営上、非常に重要な意味を持つと考えている。

 不遜ながら少しだけ言わせていただく。

 我々の産業は、もともと経営資本が人しかない産業である。あえて言うと、人財戦略=経営戦略とも考えられる。人が生み出す付加価値にお客様が満足度を基準に価値を付け、対価を払ってくれるモデルである。メーカー的な発想で原価を積み上げた売価よりは、究極的にはお客様は問題解決による満足度と天秤にかけて売価を評価する。だからサービス業だと考える。
 このビジネスの最前線は、もちろん優れた技術に裏打ちされた数多くの商材が必要ではある。しかし前述したような背景から、顧客はそれを提供する社員とその社員が提案する内容を見ている。よって顧客から見て社員は評価され信頼されるなにかを体現する必要があろう。
 この意味で、人に対する企業の施策は、大変重要な意味を持つと考えている。

 一方、21世紀に入って高度な情報化社会を迎え、外部環境は大きく変化している。この変化と共に人の気持ちも変化している。人が生き生きと自分の付加価値を高め、それを顧客とWinWinのビジネスを構築するために、十二分に発揮するためのモチベーションの源泉が変わってきていると感じている。変わってきたというよりは、本質的な、本来人間としてもっていた核心が自覚され始めてきたといった方がよいかもしれない。人は何によって動き出すのか、そして加速するのか。これを理解することは、個人にとっては自分らしく生きようとする欲求に合致し、企業や組織は的確なマネジメントを行うことができる。
 ぜひこの本を読んで、自分のモチベーションのOSのバージョンがなんなのかを考えてほしい。その上で、次のことを考えてほしい。

(1)上長のOSはなんだろうか?
(2)部下のOSはなんだろうか?
(3)周囲の同僚たちのOSはなんだろうか?

 あなたに部下がいて、自分のOSと部下のOSが同じだと勝手に思ってマネジメントしていたら、それは大変多くの悲劇を生むことになろう。一見同じアプリケーションについて語り、それを活用して生み出す成果について語り合っていても、OSが異なるので、そもそもそのアプリケーションは部下のOSでは動かないこともある。なぜかと言うと、一般的に部下のOSの方が新しいかもしれないからだ。これを理解せずに、こうすれば当然人は動き、自分についてきてくれるはずだと思っていると、部下にとってはパワハラになるかもしれない。

 モチベーション3.0は、今考えられているもっとも新しいバージョンである。本格的な高度情報化社会の伸展の中で、あるいは先進国の成熟した社会の中で、人のモチベーションの源泉は変化していると指摘している。内容はこの稿で語るには難しいので、ぜひ購読をお勧めしたい。

 私が所属する企業は合併した。新会社には新会社の人財戦略が必要だ。新会社の人財戦略の基本となる考えは、このモチベーション3.0の世界を意識している。もともと旧会社が標榜した人財戦略は、モチベーション3.0の世界を漠然と見据えていた。新会社でもビジネスモデルがよりソリューションに鮮明にフォーカスされたので、この考えを踏襲している。
 これは高付加価値ビジネスを展開する我が社において、基本となる考え方だと思っている。多くの人にモチベーション3.0を検証してもらい、多くの議論を通じて、HISOLの人財施策を作り上げていけたらと考えている。
 このモチベーション3.0に違和感を感じる人は少なくないと思う。その違和感を議論で埋めていきたいと考えている。

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